アトピー性皮膚炎の
悪化要因と自己調整システム

 アトピー性皮膚炎の原因は、遺伝的要因のほか、皮膚の乾燥(バリアー機能の異常)にアレルギー性炎症が加わり、様々な内的・外的要因が悪循環をなして増悪するものです。

 例えば、「バリアー機能の異常」 → 「アレルギー性炎症」 → 「かゆみ」 → 「掻破」 → 「黄色ブドウ球菌などの感染」 → 「アレルギー性炎症」 → 「皮膚の増殖と肥厚」 → 「発汗障害」 → 「アレルギー性炎症」 → 「ストレス」 → 「かゆみ」 →→ など複雑に絡み合って悪化します。
(下図【アトピー性皮膚炎の悪化要因と自己調整システム】参照)

 乳児では、脂漏性皮膚炎、発汗障害、食物アレルギーなどがきっかけに悪化します。当院の患者さんに行った悪化要因の自己認識調査の結果を表に示します。

 最も多いのは発汗障害、続いてストレスを中心とした心理社会的要因で、そのほか日光その他の刺激、食物アレルギーなどのアレルギー、気温の変化と乾燥などでした。(下表参照)


 そもそも、人の心身の生命活動は、脳を中心とした中枢神経系と自律神経を含む末梢神経系、内分泌系、免疫系などが相互に助け合って諸臓器の機能が調節されています。ステロイドホルモンについては、脳下垂体―副腎皮質のフィードバック系が働いて、皮膚のアレルギー反応や免疫機能を抑えたり、その他の体の大切な働きを調節しているのです。

 ステロイドホルモンは多すぎても少なすぎてもだめ、自分で分泌量を調節できることが健康にとって最も大切なことなのです。自律神経系も脳下垂体が中枢となり、皮膚や内臓の働きを日々刻々と変化する外界の環境に応じて調節しているのです。このように自己治癒力がわれわれ人間には備わっていることを認識してください。

 アトピー性皮膚炎を治療する上で大切なことは、

   ① できる範囲で原因を取り除くこと。
   ② 自己治癒力を損なわず、高めるようにすること。

 例えば、ステロイド剤をなるべく使わない、使っている場合は、止めていくことが徐々に治癒力を高めることになります。基本的には、自分で治っていくのです。医療や薬物療法はそれを助けるものです。適度に運動したり、規則正しい生活をすることが、自律神経のバランスを保ち、症状を軽減するのに役立ちます。

 入浴は、皮膚を清潔にするだけでなく、発汗障害を改善する、リラックスしてストレスを和らげる、代謝を盛んにして組織の修復力を高めるなど治癒力を助けます。適切な食事やスキンケアも必要です。医師への信頼感や家族の支えがあり、自分自身で治す意欲があれば、視床下部―脳下垂体―自律神経を介して症状を改善し、離脱症状を乗り越えることができます。


アトピー性皮膚炎について

ステロイド剤の依存性とリバウンド

【アトピー性皮膚炎の悪化要因と自己調整システム】

乳児期のアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎を治す12か条

治療・ケアとその理由