様々な皮膚疾患

[1] 水虫(汗疱状白癬)
[2] 爪水虫(爪白癬)
[3] たむし(体部白癬)
[4] 単純ヘルペス(単純疱疹)
[5] 帯状ヘルペス(帯状疱疹)
[6] にきび(尋常性ざ瘡)
[7] もうほうえん(毛庖炎)
[8] とびひ(伝染性膿痂疹)
[9] しっしん(湿疹)とじんましん(蕁麻疹)
[10] かへいじょう しっしん(貨幣状湿疹)
[11] まんせい ようしん(慢性痒疹)
[12] 小児ストロフルス(急性痒疹)
[13] じかかんさせい ひふえん(自家感作性皮膚炎)
[14] しろうせい ひふえん(脂漏性皮膚炎)
[15] でんぷう(癜風)
[16] マラセチア毛包炎
[17] あせも(汗疹)
[18] 手荒れ(手湿疹)
[19] かんぽう(汗疱)
[20] しょうせき のうほうしょう(掌蹠膿疱症)
[21] 手の皮膚のカンジダ症
[22] じんじょうせい かんせん(尋常性乾癬)
[23] かぶれ(接触皮膚炎)
[24] 金属アレルギー
[25] 花粉皮膚炎

[26] おとなの顔の赤み
[27] 虫刺され(刺虫症)
[28] イボ(疣贅)
[29] 水イボ(伝染性軟属腫)
[30] ジベルばら色粃糠疹
[31] やけど(熱傷)
[32] 梅毒
[33] ほくろ(黒子、母斑細胞母斑)と悪性黒色腫(メラノーマ)
[34] 乳幼児に多い血管腫
[35] 成人に多い良性腫瘍
[36] 手指の爪周囲炎
[37] 緑色爪(グリーンネイル)
[38] 足ゆびの陥入爪と巻き爪
[39] 花粉症
[40]しもやけ(凍瘡)
[41] ふんりゅう(粉瘤)
[42] 口角炎
[43] 口唇炎と唇の乾燥
[44] 小児乾燥型湿疹
[45] はたけ(顔面単純粃糠疹)
[46] 乾皮症と皮脂欠乏性湿疹
[47] ヴィダ-ル苔癬(慢性単純性苔癬)
[48] うっ滞性皮膚炎と下肢静脈瘤
[49] 円形脱毛症


[1] 水虫(汗疱状白癬)

 水虫は4人に一人くらいの割合で起こるありふれた病気です。白癬菌というカビの一種が、足のユビや足底など靴で蒸れる部位に繁殖し、水疱が生じ皮がめくれてきます。多くは片側に生じ、カユミはあることもないこともあります。汗疱など同じような症状をきたす病気があるので、顕微鏡検査で確認して初めて診断できます。

 一般に、市販薬が良く使われますが、市販の水虫薬は配合成分が多く、カブレと細菌の混合感染をきたして治療が難しくなることがあります。細菌の種類を調べたり、抗生剤、ステロイド剤、超酸性水を使用することもあります。早めに顕微鏡で確認した上で適切な治療をすると根本的に治りやすいのです。

 カブレや細菌感染のない水虫の外用の原則は、広めに塗ること、角層の底まで水虫菌が入り込むので(角層が入れ替わるのが1カ月)、きれいになってもさらに1カ月以上は外用を続けることです。足底の皮膚は他の皮膚の20倍くらい分厚いので、外用剤の皮膚への浸透性を高めるためにサリチル酸を混ぜることもあります。医師の処方した外用剤もたまにはカブレることはありますので、外用して赤くなったり、汁が出てきたら中止します。外用剤の種類を変えるか内服薬を使うこともあります。

 ケアの注意事項は以下の通りです。白癬菌は、じめじめしたところが好きです。なるべく風通しのよい履物をはく。靴を時々干す。靴下はなるべく木綿にする。石けんで1日一回はユビの間など丁寧に洗い乾かす。風呂の足拭きマットは湿っているので、ときどき日向で干すことなど。


[2] 爪水虫(爪白癬)

 爪水虫は、足のユビの爪が白、黄色、茶色などに濁って分厚くなる白癬菌の感染症です。10年くらいかけてゆっくり進行しやすいのです。皮膚の水虫ほどではないにしても、ほおっておくと他の部位や他の人に移ることがあるので、治療しましょう。

 爪の表面が白く濁った状態であれば、顕微鏡検査で確認できることが多いのですが、分厚くなった状態では、奥のほうに潜んでいるので、顕微鏡検査で検出できないこともあり視診で判断します。原因菌が白癬菌かカンジダかは、見た目では判別しにくいのですが、治療はだいだい同じです。

 爪水虫は、初期や表面だけの場合を除いて、内服薬の抗真菌剤を必要とします。内服薬は、半年内服するタイプと3カ月内服するタイプがあり、どちらも1年くらいかけて治る人が7~8割くらいです。まれに肝機能障害などの副作用を生じる人がいるので、内服前後で血液検査をすることになっています。どちらも薬価が高いので、当院では主にジェネリックを使用しています。


[3] たむし(体部白癬)

 たむしは、水虫と同じ白癬菌が体に感染したもので、遠心性に拡大し中心部は治癒しやすい環状の紅班です。股部にできたものを「いんきんたむし」といいます。抗真菌剤の外用が効きます。ステロイド剤を使うと免疫を抑制するため逆効果になります。


[4] 単純ヘルペス(単純疱疹)

 原因は単純ヘルペスウイルスの感染で、唇に小さな水疱の集まりを生じ、繰り返しやすい感染症です。ニキビと違って水っぽくなり、ピリピリした軽い痛みを伴います。他のいろいろな部位にも生じます。アトピー性皮膚炎の人は、このウイルスに弱く小水疱が散在した形になりやすく、カポジ水疱様発疹症といわれます。ふだん体に潜んでいて、ストレス、疲れ、寝不足、強い日光に当たる、カゼをひいて免疫力が落ちたときに生じやすいのです。接触や入浴でも移ります。抗ウイルス剤の外用か内服が効くので早めに受診してください。保険適用としては外用か内服のどちらかしか適用できません。


[5] 帯状ヘルペス(帯状疱疹)

 水痘帯状疱疹ウイルスの感染で、みずぼうそう(水痘)に感染した後、神経節に潜んでいて、再活性化されたときに再発する症状で、皮膚の神経の支配領域に一致して痛みを生じ、同時に帯状に炎症性の小水疱の集まりができます。単純ヘルペスと似てはいますが、痛みや炎症が強く、右か左かのどちらかに分布するのが普通です。免疫力のとくに落ちた人以外は再発することは稀です。

 治療は抗ウイルス剤(単純ヘルペスより多量)が効きますが、一部の高齢者の中にはしばらく神経痛として残る場合があります。


[6] にきび(尋常性ざ瘡)

 ニキビは、毛孔の皮脂腺に皮脂がたまり、初期には黒もしくは黄白色の小丘疹を呈し(面皰 めんぽう)、さらにアクネ桿菌などの感染により炎症を起こして赤い丘疹になり、慢性に経過します。

 原因もしくは悪化要因としては、皮脂の過剰分泌、角質が分厚くなる、皮膚に何か塗ることによって毛穴を塞ぐ、免疫力の低下などがあります。具体的には、化粧、洗顔不足、睡眠不足、ストレス、疲れ、食生活の不摂生、季節の変化、日光に当り過ぎ、月経前、男性ホルモン過剰、ステロイド剤の使用などがあります。一般に、季節の変わり目、とくに秋から冬、冬から春にかけて多くなります。

 ケアとしては、石けんで洗う、触らない、潰さない、なるべく塗らない、髪の毛が触れないようにする。早寝早起きなどの規則正しい生活習慣生活(睡眠中に柔らかい皮膚に入れ替わる)、アルコールを止める、タバコを吸わない、脂ものや炭水化物をとり過ぎない、ビタミン、ミネラル、食物線維を十分とるなどの注意が必要です。

 治療としては、漢方薬、ビタミン剤、抗生剤の内服、皮膚を溶かして皮脂を出しやすくする外用剤、抗生物質の外用剤などがあります。最近、分厚い角質を溶かす外用剤として、副作用も比較的少なく効果の高い外用剤が保険適用薬として出てきています。


[7] もうほうえん(毛庖炎)

 毛孔に一致した小丘疹や小膿疱で、軽い痛みを生じます。主に表皮ブドウ球菌などの常在菌の感染で、放置しても数日で治癒することが多いです。抗菌剤を使うこともあります。ステロイド剤の外用を止めて、リバウンドが改善してきた時期にもよく起こります。深い部分に進行すると、セツやヨウ(おでき)になります。ニキビも毛庖炎の一種です。


[8] とびひ(伝染性膿痂疹)

 乾燥肌やアトピー性皮膚炎の子どもには黄色ブドウ球菌がつきやすく、表皮に水疱、ビラン、痂疲(カサブタ)を形成し、色々な大きさに広がっていき、体の他の部分にも移りやすいのです。抗生物質の外用や内服を必要とします。多剤耐性菌(MRSAなど)がついていることもあるので、抗生物質を使う前に菌の種類と効く抗生物質を調べる(細菌培養)ことがベターです。溶連菌(A群連鎖球菌)によるものは、黄色い膿が皮膚に点状に生じる傾向にあり、腎炎やリウマチ熱になることがあるので、効く抗生物質を10日ほど内服するのが普通です。溶連菌によるトビヒは、カポジ水痘様発疹症(ヘルペスウイルスによる感染)に似ており、合併することもあるので、とくにアトピー性皮膚炎でステロイドを使用してきた人の場合には注意が必要です。


[9] しっしん(湿疹)とじんましん(蕁麻疹)

 湿疹は、小さな赤いブツブツ(紅色小丘疹)が散在する状態で、痒みを伴います。蕁麻疹は、紅い(紅班)や盛り上がり(膨疹)で比較的短時間に出たり引いたりし、痒みを伴うのがふつうです。

 どちらも原因は、アレルギー、ストレス、接触、摩擦、発汗、温度変化、季節の変わり目、日光など様々ですが、アトピー体質をもつ人が多いといえます。実際には、複合的な要因で発症することが多く、原因を特定できることは多くはありません。一時的に生じて消えていく急性のことが多いのですが、慢性化することもあります。肘部や膝部などに出る特徴的な湿疹で6か月以上続くものをアトピー性皮膚炎と言いますが、アトピー性皮膚炎になる場合もあります。乳児の場合、2か月以上続くものをアトピー性皮膚炎、それまでは乳児湿疹といいます。抗アレルギー剤の内服が有効ですが、とくに蕁麻疹によく効きます。

 どちらも外用剤は使用することもありますが、長期に使用すると汗を閉じ込めたりかぶれたりすることがあるので、あまり頼らないほうがよいでしょう。ステロイドの外用剤は依存性があるので控えます。湿疹には汗で悪化することも多いので、超酸性水(殺菌用の水でカユミに効く)が役に立ちます。


[10] かへいじょう しっしん(貨幣状湿疹)

 四肢とくに下腿伸側、体幹、腰臀部などに類円形(貨幣もしくはコイン状)の主に湿潤した湿疹を言い、幾つかで生じることがふつうです。一般に、強いめのステロイド外用剤が使われますが、細菌感染によるアレルギーが悪化因子になっていることが多く、当院では、ステロイド剤は使わず、湿潤を抑える外用剤や漢方薬、抗アレルギー剤などでほとんどのケースは改善します。アトピー性皮膚炎の体質を持つ人が多く、ステロイド剤をたいていの人は使って来ているので、治すのに長期間かかるのがふつうです。


[11] まんせい ようしん(慢性痒疹)

 一般に高齢者の体幹に多い多形慢性痒疹と青年期以降の女性の四肢に慢性的に経過する結節性の丘疹で、掻破によってビランや痂疲を伴うことが多いものです。虫刺されの後、硬い結節として残るものを慢性固定蕁麻疹とも言います。たいていの人は相当強いステロイド外用剤を長期に使われてきており、ステロイド剤を止めると、浸出液が出て広がりアトピー性皮膚炎の病状になっていくこともあります。当院では、治療はアトピー性皮膚炎に準じますが、ステロイド剤を止めて長期の期間を経て改善するケースが多いです。


[12] 小児ストロフルス(急性痒疹)

 春から夏にかけて幼児にみられ、蕁麻疹様の多発性の丘疹でカユミを伴い、掻破による感染を起こすこともあります。数週間かかったり再発することもありますが、ステロイド剤を使わず、かゆみ止めの内服や外用、感染を抑える外用剤などでよくなります。


[13] じかかんさせい ひふえん(自家感作性皮膚炎)

 ある皮疹が病変の急激な悪化によって、カユミを伴う小丘疹や紅班となって全身に多発し広がる湿潤性の皮膚炎です。アトピーとは違った内在性のアレルギー反応で、原発巣における組織崩壊によって、変性自己蛋白、細菌、真菌成分、毒素などが抗原となり、血液を介してあるいは掻くことによって広がると考えられています。

 原発巣となる皮疹は、貨幣状湿疹、うっ滞性皮膚炎、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、足白癬などで、圧倒的に多くは下腿から生じます。

 原発巣の皮疹を治すのが原則で、湿潤を抑える外用剤や内服薬を使いますが、、効果なく広がってくることが多いので、重症なときは、ステロイド外用剤や内服を短期間に使います。


[14] しろうせい ひふえん(脂漏性皮膚炎)

 頭、顔、腋窩、胸、背中、陰股部など皮脂分泌の多い部位(脂漏部位)にできる紅班で、ときに白か黄色みをおびた鱗屑を伴います。乳児型と成人型があります。生後2~3週から乳児の頭や顔に発症し、石けんで洗うだけで生後数か月で自然治癒する場合もありますが、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎に移行することもあります。成人型は、頭のフケや赤み、顔の赤みやカユミ、そのほかの脂漏部位に繰り返しやすいです。

 原因は、ピチロスポリウム(マラセチア)という常在のカビが皮脂を餌として分解し脂肪酸ができ、汗とともに刺激となって生じるといわれています。

 治療は、添加物の入っていない石けんで洗うことが基本です。カビに効く外用剤(ニトラゼンなどのクリームやローション)を塗る方法がありあす。一般にステロイドの外用が使われますが、これを使ってしまうと、その場の炎症は抑えても免疫力が落ちることによってカビの増殖を助けて再発しやすくなります。また、ステロイド剤を使っていると、とくに止めた後、カビに効くクリームにカブレやすくなってカビの外用剤が使えなくなることが多いので、ステロイド剤はお勧めできません。


[15] でんぷう(癜風)

 青年期の胸や背中などに好発するマラセチアの皮膚感染で淡褐色班や脱色素班になります。夏など暖かい時期に脂漏性皮膚炎と同じマラセチアが異常増殖したもので、顕微鏡で確認できます(脂漏性皮膚炎では確認できない)。


[16] マラセチア毛包炎

  青年期の背中などに多発するニキビ様のマラセチアによる毛包炎で、抗真菌剤の外用が効きます。


[17] あせも(汗疹)

 汗腺が閉塞され表皮の下に汗が貯留してできる皮疹です。薄い膜でおおわれた小水疱(水晶様汗疹)と赤い小丘疹(紅色汗疹)などがありますが、いずれもカユミは伴わないか軽度です。乳幼児の皮膚と皮膚が合わさったむれやすい部位に生じることが多いのですが、成人でも生じます。湿疹化してカユミを伴うこともあります。日ごろから入浴をして汗を出しやすい体質にしておき、シャワーをしたりこまめに拭きます。当院では超酸性水をかけて殺菌し湿疹化や感染を防ぐようにします。


[18] 手荒れ(手湿疹)

 乾燥型(進行性指掌角皮症)と湿潤型に分けることもありますが、美容師、医療職、介護職、台所仕事をする主婦、紙を触る事務仕事、食物を扱う仕事などに多いのです。特別の原因が見つかったときには接触皮膚炎といいます。台所仕事で、主に洗剤の合成界面活性剤とゴム手袋に触れることによりますが、物理的刺激、湯水との頻回の接触、野菜や肉との接触などの刺激が関係します(主婦手湿疹)。

 対策は、シャンプーやリンスその他たいていの石けんや洗剤には合成界面活性剤が入っていて皮膚の脂肪分を溶かしたり皮膚を障害しやすいので、それらに触れないこと、合成界面活性剤を含まない純石けんを使用すること、手袋はゴム(ゴムもかぶれやすい)を避け、ビニール、プラスチック、ポリエチレンに変えること、ゴムの下にポリエチレンなど二重にするなどの工夫をします、炎症を抑える外用剤や保湿剤などを塗ることが必要ですが、ステロイド剤を塗ると皮膚が過敏となり、他の外用剤が合いにくくなるので、明らかな接触皮膚炎でないかぎり、なるべく使いません。ゴム手袋の下に綿の手袋をする方法もありますが、長時間していると汗でゴムの成分が溶けて悪化することがあるので、注意が必要です。


[19] かんぽう(汗疱)

 手の平(手掌)や足の裏(足底)に小水疱が多発して、落屑を伴い、カユミを伴うことが多く、通常は数週間で治癒します。手湿疹と合併することもあります。

 手掌の皮膚は他の部位より10倍くらい、足底は20倍くらいの分厚さがあり、汗腺が長く渦をまいているので、汗や炎症物質が皮下に溜まりやすいのです。季節の変わり目、とくに春は日光の量が急激に増え皮膚の角層が増殖すると同時に暑くなるので、汗が皮下に溜まりやすくなります。春や秋の温度変化が激しいときに、発汗を調節している自律神経が順応せずに汗腺が閉塞することも考えられます。多汗症を合併することもあります。一部に歯科金属が口腔粘膜から吸収されて金属アレルギーとして手足に症状がでることもあります。

 治療ケアは、手湿疹とほぼ同じですが、日ごろから入浴をして汗を出しやすい体質にしておくこと、皮膚を柔らかくして汗を出しやすくするサリチル酸などを外用剤に加えるなどします。


[20] しょうせき のうほうしょう(掌蹠膿疱症)

 左右対称的に手掌や足底に無菌性の膿疱を形成し、慢性的に繰り返しやすいものです。カユミを伴うこともあります。原因は、扁桃炎、蓄膿、歯周病、虫歯(うし齲歯)などの細菌の病巣感染が一つ、歯科金属が溶けてアレルギーを起こす金属アレルギーが一つ、そのほか喫煙が関与しているといわれますが、原因がはっきりしない例もあります。症状は汗疱に似ていますが、黄色などの膿を生じるのが普通で、汗疱より炎症や落屑が強いです。尋常性乾癬が他の部位に併発することもあります。

 治療は、原因を除去できる場合は除去すること、ビオチンの内服、外用剤などがあります。


[21] 手の皮膚のカンジダ症

 カンジダは、酵母様真菌の一つで、人の腸管などに常在します。皮膚や粘膜の症状としては、部位によってカンジダ性間擦疹(脇や股など)、乳児寄生菌紅班(乳児の股)、鵞口瘡(新生児の口腔)、女性の性器カンジダ症、カンジダ性指間ビラン(指の股)、カンジダ性爪周囲炎、爪カンジダ症などがあります。

 とくに手のカンジダ症は、手湿疹や細菌感染(ひょうそ)と合併したりして見逃されやすく、診断も顕微鏡検査や真菌培養でも確認できる場合もありますが、できない場合もあります。湿疹によく使われるステロイド剤を使われ、免疫抑制のため悪化してこじれていることもあります。ステロイド剤を止めた後、皮膚が過敏になっており、カンジダに効く外用剤にカブレることもあり、治療は複雑でいろいろな工夫をして時間をかけて経過を見ていく必要があります。抗真菌剤の内服を長期に続けることもあります。


[22] じんじょうせい かんせん(尋常性乾癬)

 炎症性の角化症で、厚い銀白色の鱗屑を伴った紅班や丘疹が出没し、表皮の角化細胞が増殖し、脱落する期間が短縮し、皮膚が分厚く硬くなります。真の原因は不明ですが家族内発症率が高く、内的因子としては糖尿病、高脂血症、肥満など、外的因子としては、感染、食生活の偏り(和食中心のほうがよい)、不規則な生活、喫煙、薬剤、ストレス、気候(日光に当たる方が良い)、機械的刺激などがあります。

 治療としては、活性型のビタミンDの外用が基本となります。コールタール軟膏が著効することもあります。当院では行っていませんが光線療法も効果があります。ステロイド剤の外用や免疫抑制剤の内服などもありますが、副作用がでやすいので、重症でないかぎり使用はお勧めできません。治療によって改善しても繰り返しやすい病気です。


[23] かぶれ(接触皮膚炎)

 外界物質の刺激あるいはアレルギーにより起こり、発赤や水疱などの湿疹反応が生じます。刺激性接触皮膚炎は、誰にでも起こりうるもので、主に接触部位に一致して湿疹反応が起こります。アレルギー性接触皮膚炎では、抗原が皮膚を介して侵入し免疫反応を介して生じ、数時間から数日かけて(遅延型反応)接触部位とその周辺に広がります。アレルギー性接触皮膚炎では、金属やシイタケなど他の部位にも広がることがあり、全身性接触皮膚炎といいます。また、接触原に光が加わって生じるものを光接触皮膚炎といいます。

 原因を除去することが基本で、軽いものではそのまま治癒することもありますが、ステロイドの外用剤を使うのが原則です。接触皮膚炎の場合、原因が分かっていることが多く、今後そのものを避ければ再発を避けられるので(たとえば湿布によるカブレ)、とりあえず1週間くらいステロイド剤を外用します。1週間くらいなら体から出るステロイドホルモンにそれほど影響しないからです。ただ、重症度やケースによってはもっと必要なころもあります。たとえば、植物による皮膚炎は水疱やビランなど生じやすく、ステロイド剤を使っても一定期間広がることもあります。

よく見られる接触皮膚炎の原因(皮膚疾患最新の治療、南江堂、段野貴一郎先生より)  

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原因物質・アレルゲン          製品・含有物

金属:ニッケル、コバルト、     セメント、合金、粘土、陶磁器   

クロム、金           装具品、ピアス、歯科金属、塗料、     インク、なめし皮革

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化粧品:

色素、香料、パラベン、      口紅、リップクリーム、アイシャドウ

ペルーバルサム、ラノリン     アイライナーなど

ヘアケア製品など:

パラフェ二レンジアミン      ヘアダイ

チオグリコール酸         コールドパーマ

界面活性剤            シャンプー、リンス、洗剤

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外皮用薬(点眼薬、座薬、痔治療薬等):

副腎皮質ステロイド外用薬

主薬               非ステロイド系抗炎症薬

基剤               抗真菌薬

防腐剤              抗生物質(フラジオマイシン、ネオマイシン)

殺菌・消毒薬(チメロサール、マーキ     ュロ、リバノール、ヒビテン、イソジン)        

局所麻酔薬(リドカイン、ジブカイン)

外皮抗ヒスタミン薬

保湿剤

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植物:

 ウルシオール           ウスシ、ハゼ、マンゴ―、ギンナン

特異抗原             サクラソウ、キク、アルストロメリア

ゴム製品:

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 ゴム硬化剤など          履物、衣類、避妊具、ゴム手袋

 ラテックス

防腐剤:ホルマリン         衣類仕上げ剤

民間療法:特異抗原         アロエ、紫雲膏、ニンニク、

プロポリス、サンシン

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[24] 金属アレルギー

 金属はそのままではアレルギーを起こさないのですが、汗や体液に溶けて、タンパクと結びついて、遅延型アレルギーを起こします。皮膚の局所に接触して起こるアレルギー性接触皮膚炎と消化器や呼吸器から吸収されて他の部位に出る全身性接触皮膚炎があります。

 ニッケル、水銀、パラジウム、クロム、コバルトなどはイオン化して金属アレルギーを起こしやすいと言われます。

 皮膚の症状としては、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、浸出性紅班、貨幣状湿疹、皮膚搔痒症、好酸球性膿疱性毛包炎、接触皮膚炎、手湿疹、汗疱、口内炎、歯肉炎、口唇炎、扁平苔癬などです。

 診断は、パッチテストをして判定しますが、10月から4月ころまで汗が少ない時期に、週3~4回の受診が必要です。当院ではやっていませんが、必要であれば紹介します。


[25] 花粉皮膚炎

 花粉症の原因としては、春の花粉としてスギやヒノキが有名ですが、春から秋までに飛散するイネ科のカモガヤ、オオアワガエリ、秋にはキク科のブタクサ、ヨモギなどがあります。特徴は、鼻炎、目のカユミ、顔や首の赤み、喘息など多彩です。顔とくに目の周りや首などの皮膚に花粉が付着して皮膚炎を起こすものを花粉皮膚炎と言います。花粉だけでなく、pm2.5や黄砂なども悪化の原因として作用している場合があります。同じアレルギーの抗体の陽性度合でも春には悪化要因が多い(日光、低気圧、発汗しにくい、自律神経の調節がうまくいかない、飛散物が多いなど)ので、症状が強く出やすい傾向にあります。

 抗アレルギー剤を飛散の少し前から内服しておくとある程度予防できます。マスクをする、外から帰ったら服をはたく、顔をぬるま湯で洗うなどの対策もあります。


[26] おとなの顔の赤み

 顔が赤い状態には、脂漏性皮膚炎、化粧品かぶれ、花粉症、アトピー性皮膚炎などなどいろいろなタイプがありますが、原因の幾つかが重っている場合もあります。たいていはステロイドの外用剤が使用され、治療が難しくなっていることが多いのです。ステロイド外用剤を塗り続けたために顔の赤みとニキビが混在するものを酒さ様皮膚炎といいます。

 厚生労働省の研究班によるアトピー性皮膚炎治療ガイドラインでも、「顔面にはステロイド外用薬はなるべく使用しない。用いる場合、可能な限り弱いものを短期間にとどめる。」とあります。短期間とは、1~2週間のことを言いますが、実際は、ステロイド剤が医師によって長期間処方されていることが多いものです。よく「プロトピック軟膏であればステロイド剤でないので大丈夫」と言われて塗っている人がいますが、プロトピック軟膏も免疫抑制剤で、本来の治癒を促す治療法ではないので、ステロイド剤と同じようにリバウンドが生じやすいのです。

 顔は日光や飛散物、乾燥した空気などにさらされ、女性では、何年も合成界面活性剤などの化粧品の刺激を受けて乾燥肌になっていることが多く、症状が出やすい部位です。また、目の周りなどは、とくに皮膚が薄く血管が多く血流も多いので、ちょっとした炎症が症状に出やすい部位でもあります。それゆえにステロイド剤を塗ると、吸収されて影響を受けやすく、止めた後のリバウンドも出やすい部位でもあります。

 女性の場合、化粧品をつけてきたことによる慢性的な乾燥肌、40過ぎくらいから急激に皮脂が減少すること、季節の変化(急に寒くなって乾燥したり、日光に強く当たったり)、もともとアトピーの体質があるなどの上に、化粧品を変えてカブレたり、花粉の飛散に触れたり、脂漏性皮膚炎の傾向もある人、ストレス、石けんでの洗いすぎ、石けんで洗わず酸化された皮脂が残っている場合、ステロイドによる酒さ様皮膚炎になっている人など、幾つかが重なっている場合が多いので、治療には長期間を要し根気が必要です。ただ、アトピー性皮膚炎の体質の少ない人は、ステロイド剤を切ったための強いリバウンドはそれほどでもないことが多いです。

 治療の基本は、原因となっている可能性のあるものを取り除く、まず、今まで使用してきた化粧品や外用剤、ステロイド剤などを止めます。ステロイド剤やプロトピック剤を使用してきて止めた後は、皮膚が過敏になっていて添加物の多いクリームやローションは合わないことが多いので、これらの外用剤は当分は使わないようにします。合成界面活性剤を含まない純石けんで洗顔します。乾燥が強い人には合成界面活性剤や抗菌剤などを含まずグリセリンとミネラル分のみを含む化粧水は使用します。顔の赤みや炎症の強い人は漢方薬、カユミの強い人は抗アレルギー剤、そのほかビタミン剤など処方します。ニキビには漢方や外用剤を出すこともあります。


[27] 虫刺され(刺虫症)

 春から秋にかけて虫さされが多くなります。治療は、似たようなものですが、刺された紅色小丘疹の分布の仕方や特徴から、原因の昆虫が類推できるので紹介します。毛包炎やニキビと違ってカユミが強いのが特徴です。蚊は、服から出ている部位、イエダニ(ネズミなどが媒介)は、被服部位の体幹、ネコノミは、ネコやイヌを飼っている場合で下腿から足にかけて水疱になりやすく、トコジラミは古家やホテルなど泊まった時に四肢の末端近くの手足や首のあたりに多いのが特徴です。ブト(ブヨ)は高原や渓流などで刺されることが多く、蚊と同様の部位ですが、炎症が強く後に残りやすいものです。

 毛虫は庭木などで刺されますが、洗濯ものについていたりして刺されたことに気づかないことの方が多いものです。四肢や体幹の色々な部位で左右非対象にカユミの強い紅色小丘疹が散発的あるいは密集して多発します。刺されたと思ったら石けんで洗って刺さっている目に見えない小さな針をとり除きます。

 山間部や草原にいるマダニは、皮膚を刺して血液を吸っている状態で見つかることがあります。まれに山岳部にマダニがリケッチャ感染を媒介するツツガムシ病という病気があります。肝機能障害や発熱などの症状がでますが、抗生物質が効きます。最近問題となっているウイルス感染として、重症熱性血小板減少症候群がありますが、まだ詳しいことは分かっておらず、根本的な治療法ありません。ふつうの環境では、それらに感染することはないはずですが、ダニが皮膚に着いて血を吸っている状態を見つけたら、自分で取ると虫体の一部が体に残り感染しやすいので病院に受診しましょう。いずれの感染症もごく稀なものです。(虫と皮膚炎、秀潤社、夏秋 優先生より)


[28] イボ(疣贅)

 ヒト乳頭腫ウイルスによる皮膚の感染症で、小児の手足やユビに多く、ブツブツ、ザラザラの表面を有する尋常性疣贅、青年女性の顔や手背に多くやや扁平な青年性扁平疣贅、性感染症として外陰部に好発しカリフラワー状の小丘疹が多発する尖圭コンジロームなどがあります。自覚症状はほとんどなく、前2者は、自然治癒もあります。一部を治療すると他の部位も消褪することもあります。治る暗示で治ることもあります。尋常性疣贅はスピール膏という貼付用の絆創膏(痛みを伴わない)で7~8割は治ります。ヨクイニンを内服するなどの方法もあります。冷凍窒素(ドライアイス様)を当てる方法は、当院では行っていませんが、痛みを伴います。スピール膏に効果のない人は紹介します。


[29] 水イボ(伝染性軟属腫)

 水イボは、伝染性軟属腫ウイルスによる皮膚の感染症で、小児とくにアトピー性皮膚炎や乾燥肌の子に感染しやすいものです。境界鮮明な平滑で光沢のある小結節で、中心に窪みがあることもあります。本来、赤みはなく皮膚の色をしていますが、湿疹と一緒になっている場合は、掻いて赤くなって分かりにくくなっていることもあります。カユミを伴うことも多いのですが、カユミのある乾燥してザラザラした皮膚に付きやすいく、水イボができたら気になって掻くなどの悪循環になります。

 掻き破ってその部位のイボは治るのですが、破れた中のウイルスが他の部位に移って症状がひろがりやすいので、ピンセットでとってしまうとそのまま治癒します。それほど痛い物ではないのですが、恐怖で大暴れし、取れない子もいます。最近、麻酔テープが保険適用になったので、2時間前に貼って来てもらって次の機会にとります。多すぎてとれない子や大暴れする子は、免疫力を高めてイボの自然治癒を促すヨクイニンの内服をすると、数週間から数か月でとれます。放っておいても自然に治りますが、1年以上かかることが多いようです。


[30] ジベルばら色粃糠疹

 青年期に多い炎症性角化症です。直径2~5cmの楕円形の紅い皮疹が体幹に一つ生じ、1週間位で体幹や四肢の近位部位に1~2cmの皮疹がちらばります。原因不明ですが、1~3カ月で自然治癒し、再発はほとんどありません。カユミはあることもないこともありますが、アトピー体質の人はカユミを伴いやすい傾向にあります。治療は経過観察ですが、典型的でない場合は、真菌その他の感染症との鑑別のため検査をすることがあります。


[31] やけど(熱傷)

 皮膚組織の障害の深度から、Ⅰ度(表皮のみ)Ⅱ度(真層まで)Ⅲ度(皮下まで)に分けられます。受診直後は深度が正確に判断しにくいのですが、Ⅰ度(表皮のみ)では、有痛性の紅班と浮腫で3~4日で瘢痕を残さず治癒します。Ⅱ度(真層まで)の浅い部位では、痛みがあり数時間以内にビランや水疱を形成します。真皮への損傷が少ないため、2~3週間で瘢痕を残さず治癒します。Ⅱ度でも深い場合、痛みが返って軽微で水疱底は白くなり、治癒には3~4週間かかり瘢痕を残します。Ⅲ度(皮下まで)は、痛みはなく皮膚は壊死し褐色に炭化し、多くはデブリードマン(壊死の部分を取り除く)や植皮が必要になります。

 熱傷範囲も問題となります。重症熱傷では体液が失われ、ショックを起こすことがあります。小児では、体表の10%、成人では15%を越えると輸液などの全身管理が必要です。(新しい皮膚科学、中山書店、清水 宏先生より)

 当クリニックでは、Ⅰ度からⅡ度の浅い局所の熱傷しか扱えません。初期対応は、流水で30分以上冷やし、病変拡大や浮腫を予防します。治療は、初期の水疱がない赤みのみの時期には、アズノールにステロイド剤を少し混ぜて塗布すると水疱にならずにすむこともあります。既に水疱やビランが生じている場合は、アズノール軟膏を塗布するか、ソフラチュールという抗生物質入りの網状のもので覆います。感染の兆候がある場合は、アズノール軟膏にゲンタシン軟膏などを混ぜて使用します。

大切なことは、ガーゼで覆って局所に刺激を与えないようにすること、感染を起こさないように清潔に扱うこと(手の指にも細菌は着いているので直接触れないこと)です。当院では、1日に1回殺菌作用のある超酸性水を噴霧してもらっています。電気あんかや温風器などに長時間あたってできる低温やけどは下肢に多く、深度が深く、治癒が長引きやすい傾向にあります。


[32] 梅毒

 第1期梅毒:梅毒は、梅毒トレポネーマ(スピロヘータの一種)によって起こる性感染症です。感染の機会から平均3週間位から、局所の小丘疹(初期硬結)から潰瘍化し(硬性下疳)、その後リンパ節の腫脹が生じます。いずれも痛みなどの自覚症状を欠き、多くは気づかれないまま自然消退します。

 第2期梅毒:梅毒トレポネーマは全身に広がり、感染後3カ月ころから色々な皮疹が生じるようになります。血液検査では、感染後6週間から陽性に出ます。微熱や全身倦怠感とともに5mm~2cmくらいの淡い紅班(梅毒性ばら疹)が全身とくに手の平や足の裏(掌蹠)に出現し、自覚症状なく数日で消退します。その2~3週後に、同様の部位に5mm~1cmくらいの鮮紅色の丘疹が多発します(丘疹性梅毒)。とくに掌蹠では、落屑を伴い乾癬に似た皮疹を形成します(梅毒性乾癬)。肛門、外陰部その他の間擦部に表面がカリフラワー状の扁平隆起性の丘疹が生じます(扁平コンジローム)。

その後、症状がでないまま血液検査で陽性に出る以外、潜伏梅毒となり、第2期を繰り返すこともあり、30%位の人は第3期(ゴム腫や心血管梅毒など)に移行し、30年位してから神経梅毒になって中枢神経が侵されることがあります。

第2期までの治療は、ペニシリン(もしくはマクロライド系、テトラサイクリン系)を4週間投与します。(新しい皮膚科学、中山書店、清水 宏先生より)


[33] ほくろ(黒子、母斑細胞母斑)と悪性黒色腫(メラノーマ)

 母斑細胞母斑とは、褐色ないし黒色の色素班あるいは腫瘤で、多くは3~4歳頃から生じ、直径1.5cm以下のものを、ほくろ(黒子)と呼びます。日本人では、一人平均10個くらいあると言われます。悪性黒色腫(メラノーマ)との違いが問題になりますが、悪性黒色腫の場合は、急激に大きくなる、直径6mm以上、手の平や足の裏に多い、茶色や黒色が混ざり合っている、辺縁が不規則不鮮明、左右非対称、潰瘍や出血が起こりやすいなどの特徴があります。日本人の頻度としては10万人に二人くらいと言われています。悪性度が強く、治療は、早期に手術で除去することが原則です。診断は、視診である程度判断できますが、ダーモスコピ―という拡大鏡で診断する必要があるので、他病院に紹介します。皮膚の悪性腫瘍には、他にも色々ありますが、頻度としては稀です。


[34] 乳幼児に多い血管腫

 いちご状血管腫:生後3~4週から鮮紅色のいちごのような隆起がみられ、数年で柔らかい瘢痕を残して自然消退しやすいものです。

 サーモンパッチ:顔の中心部にできる平らで境界不鮮明な痰紅色のアザです。2歳までに消えることが多いものです。

 単純性血管腫(ポートワイン母斑):頭、顔、とくに目の周りを中心に片側半分に出やすい、境界鮮明で濃い赤色のアザです。自然に消えることはありません。レーザー治療が必要です。

 ウンナ母斑:後頭部にできる赤アザで、やや消えにくいのですが、半数は3歳位で消えると言われています。アトピー性皮膚炎の乳児によく見かけるものです。(新しい皮膚科学、中山書店、清水 宏先生より)


[35] 成人に多い良性腫瘍

 脂漏性角化症(老人性疣贅):20歳代から出現し、80歳以上では全員にみられるもので、顔、頭、体幹などに好発する1~2cmくらいの褐色から黒褐色のイボ状の隆起です。老化現象の一つで、老人性色素班から生じることが多いものです。悪性化するものではありませんが、ダーモスコピーで悪性腫瘍との鑑別が必要なことがあります。脂漏性角化症であれば、放置しても差し支えないのですが、治療には、冷凍窒素療法、炭酸ガスレーザー、外科的切除などがあります。当院では行っていないので、専門の病院に紹介します。脂漏性角化症が急激に全身に多発し、カユミを伴う場合は、内臓の悪性腫瘍の合併が疑われます。

 軟性線維腫:頸部や鼠蹊部などに好発する表面にシワのある柔らかい皮膚の色をした良性腫瘍(直径1cm以下)です。膠原線維の増殖によります。糸のようにぶら下がる状態をアクロコルドンと言います。肥満者や女性に好発し、老化現象の一つです

 皮膚線維腫:成人の四肢に好発し、虫さされなどの外傷の後に生じる褐色調の硬い腫瘍(数mm~2cm)で、皮膚の下にボタンを入れた感じと言われます。

 肥厚性瘢痕とケロイド:結合組織の増殖による境界鮮明な紅色もしくは褐色の扁平隆起です。外傷や手術に続発しますが、原因不明で突然発症することもあります。数年以内に自然に委縮するものを肥厚性瘢痕、時に圧痛やカユミをともない拡大していくものをケロイドと言います。トラニラストの内服やステロイド外用剤などで治療しますが、難治性です。

 老人性血管腫:鮮紅色の光沢のある点状の丘疹が体幹に多発し、20歳代から加齢とともに増加します。毛細血管の増殖したものです。

 毛細血管拡張性肉芽腫:外傷などがきっかけとなって生じた毛細血管の拡張による血管腫で(数mm~2cm)、機械的刺激で出血しやすいので、冷凍窒素などや外科的治療が必要です。他病院に紹介します。成人では、体幹、四肢に、小児では顔に好発します。(新しい皮膚科学、中山書店、清水 宏先生より)


[36] 手指の爪周囲炎

 急性爪周囲炎は、母指や第二指に多く、爪周囲のサカムケや深爪、マニキュア操作などにより、子どもの場合は指吸いや爪噛みにより生じる細菌感染です。最初は、皮下に膿瘍を形成し拡大し、爪と皮膚の間に赤み、腫脹、痛みを伴い、膿が自然に出ることもあります。数時間で広がるものを急性爪周囲炎と言います。原因菌は多くは黄色ブドウ球菌、時には連鎖球菌などが出ます。治療は、抗生物質の内服、膿が生じている場合は、針で穿刺することで多くは改善します。

 主に指の腹の感染を狭い意味でひょう疽といいますが、あまり表面の症状がはっきりしない場合も膿が皮下に溜まっていて痛みが強いことが特徴です。抗生剤の内服が効果がないときは、麻酔下で切開が必要なこともあります。

 慢性爪周囲炎は、皿洗い、バーテンダーなど手が濡れる頻度の高い職業や水泳などのスポーツ競技者に多く発生し、糖尿病や免疫機能低下の患者に合併しやすいのです。初期症状は、爪の付け根の皮膚(近位爪郭きんいそうかく)の腫脹と圧痛、湿潤が主体で急性爪周囲炎ほどの赤みはありません。複数の指にわたり、爪は変形し、爪のふちの皮膚は瘢痕様に肥厚します。症状は6週間以上つづき、炎症や痛みは水や湿潤環境にさらされた後に悪化します。グラム陰性菌などが関与することが多く、95%の症例でカンジダが培養で検出されると言われます。カンジダの感染が主な時は、カンジダ性慢性爪郭炎(そうかくえん)といいます。

 治療は、手の湿潤環境を避けることが重要で、悪化要因となる刺激物たとえばマニキュアや指吸いを避ける、爪は短く切る、ビニール手袋をするときは、その下に綿製の手袋をはめるなどします。湿疹が合併していることが多く、薬物療法としてステロイド剤と抗真菌剤が推奨されるとのことです。しかし、ステロイド剤はカブレに一時的に使用することもありますが、免疫力を抑えて逆効果になることがあるので長期使用は控えます。湿疹が合併しているときは、抗生物質などの抗菌剤と抗真菌剤+アズノールなどの抗炎症剤を混ぜて外用します。効果がないときは抗生物質の内服に加え、抗真菌剤を比較的長期に内服します。(Derma,爪疾患のすべて、爪部、爪周囲の感染症、全日本病院出版会、尼子雅敏先生他より一部加筆修正)


[37] 緑色爪(グリーンネイル)

 緑色爪は、緑膿菌感染により生じますが、正常な爪に緑膿菌が感染することはなく、カンジダ性慢性爪郭炎やカンジダ性爪甲剥離症に二次的に感染することが多いのです。湿潤環境を好む菌なので,爪甲剥離症に合併した場合には剥離した爪甲を爪切りで除去して患部を乾燥させて抗カンジダ作用のある抗真菌外用剤を塗布すれば治ります。マニキュアや付け爪を装着している場合にはこれらの義爪を除去し、患部を乾燥させて、アクアチムクリームを塗ります。(Derma,爪疾患のすべて、爪疾患に対する外用療法、全日本病院出版会、東 禹彦先生より)効果がないときは、抗真菌剤の内服や抗生物質の内服を行います。


[38] 足ゆびの陥入爪と巻き爪

 

 陥入爪は、活動性の高い若者に多のですが、乳児から高齢者までみられます。誤った爪の切り方、深爪や爪折れ、小外傷などが主な原因です。深爪をしたり、爪先の両角を短く切り過ぎると、両角に尖った爪が切れ残り、それが皮膚に食い込みやすくなります。陥入爪は、外力が強くかかる母趾に多く、手指や乳児、相撲、柔道の選手などにも見られます。二次的要因としては、きつい靴や靴下、大きすぎる靴などからの外的刺激、肥満,スポーツや長時間の歩行、外反母趾などの足の変形、老化などの足の生理的形態異常、足のバランス異常、薬剤などが関与します。

 爪と皮膚の間に肉芽組織や膿がたまれば、細菌感染の治療として消毒や抗生剤の外用や内服を行います。痛みを和らげるためにテープを母趾に斜めに巻いて固定する、綿花を刺激を受けている爪の下に挟むなどします。症状のひどい時は、肉芽組織の切除、焼く、ステロイドの外用などすることがあり他病院に紹介します。日ごろから爪は切りすぎず、爪先の両角を軽く丸くしておくことが必要です。

 巻き爪とは、爪甲が横方向に湾曲した状態を言い、陥入爪と同時に生じることが多いのです。発症原因としては、「Derma,爪疾患のすべて、履物と爪、全日本病院出版会、塩之谷香先生」によれば、通常に足趾を使い歩行ができる状態では爪に下から上への圧力がかかり、爪が平らに保たれているが、疼痛のための廃用・麻痺などで使えない場合には、本来の巻く性質が発現して曲率を増すためとのことです。原因は、爪先の狭い靴、ハイヒール、きつい靴下などの不適切な履物、深爪、外反母趾や足の変形と歪曲、足・足趾の筋肉の緊張、衰え、老化、麻痺性疾患、全身疾患、運動・歩行不足、外反母趾、薬剤などによるものがあります。

 症状がひどい場合の爪の処置としては、アクリル固定ガター法、アクリル人工爪法、ワイヤー矯正法、フェノール法による手術などがありますが、当院ではこのうような処置が必要な場合は他病院に紹介します。(Derma,皮膚疾患最新の治療法、陥入爪:とっておきの治療法、全日本病院出版会、河合修三先生より)


[39] 花粉症

花粉症は、鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎の症状が出てカゼに似ています。その他、目のカユミなどのアレルギー性結膜炎の症状、咳や喘息などの呼吸器症状、アトピー性皮膚炎のように顔や首が赤くなる皮膚も出ることがあります。

原因はIgE抗体を介した花粉に対する1型アレルギーで、主な原因花粉には、スギ(2~4月)、ヒノキ(3~4月)、イネ科のカモガヤ(4~10月)、オオアワガエリ(5~10月)、ハンノキ(1~5月)、キク科のヨモギ、ブタクサ(8~10月)などです。一般的に春はアレルギー反応がきつく出やすく、スギやヒノキは、鼻、目、顔の皮膚などに出やすいのです。アトピー性皮膚炎の人でもスギやヒノキにアレルギーの抗体をもっていてこの時期に皮膚症状が出ることがあります。

生活上の注意点としては、マスクをする。花粉よけのメガネをかける。化繊などの衣類は花粉が付着しやすいので避ける。外出から帰ったとき玄関前で衣類に付いた花粉を払い落とす。手洗いやぬるま湯での洗顔、うがいをする。洗濯物は、花粉を払い落としてから取り入れる。花粉飛散の時期の晴れた日などは窓やドアを閉めておく。掃除機などで掃除をしたり、拭き掃除をする。

治療は、抗アレルギー剤と言われるアレルギーの予防薬が役立ちます。飛散時期が始まる1~2週間くらい前から飲み始め、飛散時期に続けて服用しておくと、かなり予防効果が期待できます。抗アレルギー剤には、ビラノア、アレグラ(フェキソフェナジン)、ザイザル、アレジオン(ユピテル、)クラリチン(ロラタジン)、ジルテック(セチリジン)、アレロック(オロパタジン)、オキサミド、ケトチフェン -(  )内はジェネリックです。- など多種あります。副作用は、眠気がくることもありますが、上記の先頭から順に脳へ移行しにくいので、眠気やふらつきが出にくい傾向にあります。その他、口が渇くなどありますが、比較的安全な薬です。長期に使用する場合には、まれに肝機能障害などを起こすことがあるので、大人なら3カ月くらいで小児では6か月くらいに内臓の血液検査をしますが、めったに抗アレルギーによる肝機能障害は経験しません。ごくまれにケトチフェンなどで痙攣を起こすことがあります。アトピー性皮膚炎などには、眠れないこともあるので、眠気の強いものを処方することもあります。

そのほかの治療法としては、オノン(プランルカスト)、キプレス、シングレアなどは、予防と治療の両方の効果を兼ね備えていて比較的安全な薬です。サラサラした鼻水には小青竜湯、鼻づまりには、辛夷清肺湯、葛根湯加川きゅう辛夷湯、荊芥連翹湯などを使用します。一時的には抗ヒスタミン剤も使うことがあります。アレルギー性鼻炎には、抗アレルギー剤の点鼻液、アレルギー性結膜炎には抗アレルギー剤の点眼液などもあります。喘息、鼻炎、結膜炎などにステロイド剤の吸入を使う医師も多いのですが、ステロイド剤は一部が粘膜から体内に吸収され、体内から分泌されるステロイドホルモンに影響することがあるので、なるべく控えます。ステロイド剤を使用しなくてもたいていは抑えることができます。鼻づまりが強く膿のような濃い鼻汁が出る場合は、慢性副鼻腔炎を合併していることがあるので、耳鼻科に受診し、レントゲン検査などで診断してもらい抗生物質が必要になります。

最近、舌下免疫療法として、スギなどのアレルゲンを少しずつ増やして口の中に投与してく方法が耳鼻科で開発されつつあり、一部の施設で行われているようです。根本的な治療になるので良い方法ですが、アレルゲンに誘発されてアナフィラキシーを起こすこともあるので、専門的な施設で注意しながら根気よく治療していくものです。


[40] しもやけ(凍瘡)

凍瘡(とうそう)は、寒冷にさらされたときに手や足の先に生じる循環障害で、うっ血して炎症を来すもので、小さい斑点状の赤みと腫れ、痛がゆさが特徴です。学童期の小児に多く、耳や顔に来ることもあります。冷えやすい体質という要素もあって、成人とくに年配の人に起こることもあります。通常は1~3週間くらいで治ります。ときに水疱、びらん、潰瘍を生じます。

寒い時は手袋をする。水に触れたあとは、よく拭いておく。朝晩、温浴して局所のマッサージをする。治療は、血液循環を良くするためにユベラ軟膏塗布やユベラ細粒などのビタミンEの内服をします。当帰四逆加呉茱萸生姜湯などの漢方薬を内服することもあります。炎症が強いときはアズノール軟膏とユべラ軟膏の混合軟膏、潰瘍になると亜鉛華軟膏とゲンタシン軟膏の混合軟膏を使用することがあります。


[41] ふんりゅう(粉瘤)

皮膚色もしくは淡青色をした皮内ないし皮下の1~2cm位の腫瘤で、多くは黒い点がみられます。表皮が内側に落ち込んで袋状をなし、そこに粥状の角質塊がたまっています。顔、頭、体幹などに好発します。毛穴の中で角質の成分や皮脂、髪の毛などが作られ、それら袋状の上皮にとじこめられた状態です。ときに細菌感染を起こして痛みや赤みがでることがあります。日常生活に差し支えなければ放置します。感染を起こしたときは、まず、抗生物質の内服で抑えます。感染を繰り返したり、大きくなり過ぎるようであれば、外科的に除去しないと根治しないので希望があれば紹介します。


[42] 口角炎

くちびるの両端もしくは片側に生じる紅班、亀裂、ビラン、痂皮で大きく口をあけると痛みや出血を生じます。原因は①感染、②機械的刺激、③皮膚疾患、④全身の病気などです。

① 小児では、ブドウ球菌などの感染が多く、老人、糖尿病、副腎皮質ステロイド剤を使用している者、HIV感染症などの免疫異常者では、カンジダの感染が多いのです。乳児では、単純性ヘルペスの初感染である疱疹性歯肉口内炎に続発することがあります。

② 大きく口を開けた場合、不適切な入れ歯、義歯などによる口の咬合不全のための唾液の流出による場合、舌で口角部をなめる習慣、唾液過多。高齢者では口角部が下がり、唾液が流れやすくなり口角炎をおこしやすいのです。

③ 食べ物、口紅や歯磨き粉などの接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎の症状として出ることも多く、舌でなめて痛みを和らげようとして、かえって唾液で浸軟して悪化させることがあります。

④ 赤い平らな舌や口唇炎を伴う時は、鉄欠乏性貧血、悪性貧血が疑われ、糖尿病やシェーグリエン症候群などの口腔内乾燥に伴う口角炎があります。その他、潰瘍性大腸炎、クローン病、栄養不良、ビタミンB2不足でも口角炎がみられます。(松本義也先生、皮膚疾患最新の治療、2001-2002による)

治療は、原因によって考えますが、まず、アズノール軟膏、亜鉛華軟膏+アズノール軟膏+フェノール、亜鉛華軟膏+ゲンタシンなど。カンジダであれば、ラノコナゾゾ―ル軟膏、ヘルペスであれば抗ウイルス剤の外用もしくは内服、その他の疾患が基礎にあれば、基礎疾患の治療をします


[43] 口唇炎と唇の乾燥

口唇の乾燥や炎症により赤み、傷、水疱などができる状態で、多い原因は、口紅、歯磨き粉、チューインガム、マンゴーなどの接触によるものです。

上記の口角炎の原因と共通する細菌感染、カンジダ感染、ヘルペス感染もあります。そのほか、薬疹の一種として粘膜と皮膚の移行部に多い固定薬疹、蕁麻疹の一種として唇が緊満状態になるクインケ浮腫などもあります。

なめまわし皮膚炎といって、小児など口唇の舌のとどく範囲が乾燥するのでなめまわし、赤みが生じるものです。

これらの症状にステロイド剤の外用を長期に使用してきた人、とくにアトピー性皮膚炎の体質のある人は、ステロイド剤を止めた後、症状が悪化したり、他の外用剤が合いにくくなっているので、治療に長期を要することが多いです。

治療は、原因を除去できるものは除去し、感染症があれば治療します。接触による原因がはっきりしていて症状が強いものには、一時的にステロイド剤を使うこともありますが、たいていの方は、他医院でステロイド剤の外用を長期に使われてきているので、当院ではステロイド剤は止めます。多いのは幾つかの原因が重なったり原因がはっきりしないものです。それらには、アズノール軟膏、亜鉛華軟膏、プロぺト、プラスチベース、アルキサ軟膏など人によって単独もしくは混合して用います。

口唇の乾燥の原因は、冬の寒冷と乾燥、ストレスや緊張によるものもあります。寒さやストレス状態では、交感神経が緊張し、唾液が濃く分泌量も減り、唇も乾燥しやすくなります。このようなときは、気功の一種として、「舌まわし」があります。舌を唇と歯茎の間に入れ力強くゆっくり右に3回まわします。左にも3回、それを2往復、それに続いて咀嚼動作を30回してみます。そうすると自律神経のうち副交感神経が働き、リラックスすると同時に薄い唾液が分泌されます。抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服で口唇が乾燥することもあるので、このときは薬を加減します。

唇の乾燥には、プロぺト、グリセリン原液、グリセリンの希釈液、生理食塩水、粗塩で塩分濃度を濃くした食塩水なども用います。


[44] 小児乾燥型湿疹

幼児から学童にかけて主に体幹に毛穴に一致した小丘疹が生じ、乾燥し、細かい鱗屑が付着することがあります。乾燥肌、サメ肌、アトピー肌ともいいます。カユミは伴わないこともありますが、伴うこともあります。

もともと子どもは生まれた時には皮脂が多く、生後2~3カ月位からやや乾燥してゆき、1/3位の子は幼児期にこのような小児乾燥型湿疹になり、ほとんどの子どもは、思春期に自然に皮脂が分泌され自然に治ったものです。ところが近年になって悪化要因が多くなり、乾燥肌からアトピー性皮膚炎に移行する子が多くなりました。小児乾燥型湿疹はアトピー性皮膚炎の前段階とも言えます。カユミがなければ放っておきます。

子どもは、代謝が盛んで暑がり、汗っかきです。保湿剤とくに油成分の入った保湿剤などを塗ると、汗がこもったり、自分の皮脂の分泌が抑制されカユミや赤みがかえって出やすくなります。皮脂は、乾燥するから新しく分泌されるのです。少しくらいの乾燥は怖がる必要はありません。

保湿しないとバリア機能が障害されてアレルギーに感作されるとの説がありますが、保湿剤でも感作されうるのです。入浴したりして皮膚を清潔にしておけば大丈夫です。保湿だけでなく、軽い状態でステロイド剤をつけることが流行っていますが、ステロイド剤は免疫を抑制するばかりか、それに依存して自分のステロイドホルモンがうまく働かなくなったりで、なおさら悪化の原因になります。なるべく自然に任せる方がよいのです。

冬などカユミが強く放っておいて皮膚に傷ができるようであれば、前もって傷のない段階から、美肌水(尿素+グリセリン)を塗布します。できた傷には傷に効く外用剤を出します。睡眠できないようであれば、抗アレルギー剤の内服を出すこともありますが、このような場合には、アトピー性皮膚炎としてアレルギーの原因の検査やそれなりの対策を講じた方がよいでしょう。


[45] はたけ(顔面単純粃糠疹)

顔面単純粃糠疹(がんめんたんじゅんひこうしん)は、学童期の子どもの主に顔に好発する粃糠状の鱗屑をもったやや白くなる類円形の皮疹です。1年以内に治ることが多いので、ふつうは放置しておきますが、保湿剤を塗ってもよいでしょう。体幹や四肢に出ることもあります。


[46] 乾皮症と皮脂欠乏性湿疹

加齢や入浴で洗いすぎなどのため皮脂や汗の分泌が少なくなって乾燥した肌を乾皮症といいますが、その状態では、バリア機能が低下しており、外的刺激を受けやすい状態になっています。冬期などに高齢者の主に下腿に刺激が加わって湿疹化したものを皮脂欠乏性湿疹と言います。下腿は、静脈血がたまって血液循環が悪くなりやすい分部であり、年齢とともに荒れやすくなります。ビーソフテンローションやヒルドイドフォームなどのヘパリン類似物質を塗布します。


[47] ヴィダ-ル苔癬(慢性単純性苔癬)

中年女性の項部に好発する類円形の苔癬化(皮膚が分厚く硬くボコボコした状態)した慢性の湿疹をいいます。衣服による摩擦や金属アレルギーなどが考えれます。ステロイド剤は短期にはよいのですが、長期つけてきた人は、止めて、少しでも効果のある外用剤を塗布し、ガーゼなどで保護します。モクタールなどを使うこともあります。根治するには根気が必要です。


[48] うっ滞性皮膚炎と下肢静脈瘤

うっ滞性皮膚炎とは、中年女性や高齢男性、肥満や長時間立ち仕事をしている人などの下肢静脈瘤を基礎として生じる様々な皮膚症状の一つで、下腿に浮腫性紅班,暗紅褐色の落屑性湿疹や色素沈着を来し、潰瘍を形成することもあります。さらに自家感作性皮膚炎に移行し他の皮膚に広がることもあります。

下肢静脈瘤とは、下肢の静脈に圧がかかり、静脈がホース状、結節状に拡張し蛇行するもので、網目状に拡張することもあります。

対策は、下腿の筋肉運動がポンプの役割をはたすので、適度に歩く、座っているときは足の運動をする、ときどき足を上げる、弾性ストッキングを着用するなどの工夫をします。治療は種々の外用剤や内服を行います。下肢静脈瘤が強いときは外科的な処置が必要です。(清水 宏先生、あたらしい皮膚科学より)


[49] 円形脱毛症

若年者の頭髪に多く生じる円形、類円形の脱毛です。原因は、免疫細胞が頭皮の毛根を異物として認識して攻撃する免疫説や、頭皮を養っている血管が収縮して栄養が行かなくなる栄養障害説などあります。ストレスが関係していることが多いです。

髪の毛は日本人では平均10万本、3年から6年ごとに新しいものに入れ替わっています。一日に100本くらいまでの脱毛は正常範囲といわれます。円形脱毛症は、多くは数か月で自然治癒します。

治療としては、ストレスに対抗する桂枝加竜骨牡蠣湯などの漢方薬、セファランチンの内服、フロジンの塗布など行います。当院では、主に漢方を使用します。まれには脱毛が融合して全頭脱毛を起こしたり、眉毛、髭、四肢の毛が脱毛することがあります。症状が難治性の場合には専門の病院に紹介します。


アトピー性皮膚炎